割れた食器を金粉と漆で修復!伝統技法「金継ぎ」の方法と必要な道具|ブランド高価買取・高く売るならMARUKA(マルカ)へ

公開日:2020年02月10日

「大切にしていた食器が割れてしまった」

「おしゃれな陶磁器をDIYしてみたい!」

そんな人にチャレンジしてもらいたいのが、日本の器の伝統的な修復技法「金継ぎ」です。
古くから多くの人に活用されてきた金継ぎは経験や技術がなくても挑戦できるだけでなく、芸術性の高さからも最近は海外からも注目を集めています。
今回は、そんな誰でも楽しめると役立つ金継ぎの歴史や必要な道具から具体的な方法まで解説していきます。

金継ぎ(きんつぎ)とは

先述のとおり、金継ぎとは主に陶磁器などの器を修復する技術のことです。
日本や中国で古くから接着剤として利用されている「漆(うるし)」を使い、器の欠片を接着して破損した部分を修復していきます。
そのままだと漆で接着した部分に跡が残ってしまうため金粉(もしく銀粉)を使って美しく装飾することを「金継ぎ」といいます。
「金を使って接着する」と勘違いしてしまう人も少なくないので、注意してください。
漆器・陶磁器のほか、プラスチックやステンレス、ガラスなど様々な素材の器も金継ぎで直せます。
破損した陶磁器などを金継ぎで再び使えるようにするだけでなく、世界で一つだけの装飾を施せることが、金継ぎの技術がこれまで続いてきた大きな理由なのです。
ただし、金継ぎで使用する「接着剤」の種類によって、修復した器が食器として使えなくなることも覚えておきましょう。

金継ぎの歴史

金継ぎの具体的な手順や道具について解説する前に、金継ぎの歴史について簡単に触れておきましょう。
漆と日本人の関わりは古く、北海道函館市では約9000年前の漆器(うるしを使った器)が発見されています。
同様に、縄文時代には漆を使って器を修復していたことが明らかになっています。
修復部分に金粉を使い始めたのは、15世紀頃からだと考えられています。
一説によると、室町幕府の8代将軍足利義政が中国伝来の茶碗「馬蝗絆(ばこうはん)」の修復に漆と金を使ったことをきっかけに、金継ぎが全国に広まったといわれています。
その後は金継ぎによる修復跡が文様として捉えられるようになり、その芸術性が広く認知されたのです。
江戸時代に作られた文化財に指定されている茶碗「雪峰」をはじめ、骨董品として価値が高い陶磁器も残っています。

金継ぎの手順とポイント

金継ぎの具体的な手順とポイントについて解説します。
最も本格的な金継ぎは短時間で完結する作業ではなく、2週間ほどかけて全4工程を行う必要があります。
修復する素材や破損の程度によって作業内容が異なることもありますが、まずはおおまかな手順を確認していきましょう。
なお、漆はかゆみなどを引き起こすアレルギー性物質を含んでいます。
手袋を装着するか後述する漆以外の接着剤を使って金継ぎすることをおすすめします。

【ステップ1】:事前準備

金継ぎする器と破片の両方の断面以外を、マスキングテープなどで覆う(漆や金粉が周囲に付着しないようにするため)。
その後、接着面に漆を塗布して1日程度乾燥させる。

【ステップ2】:接着

小麦粉・木の粉・漆を混ぜた接着剤「麦漆」を作り、ヘラを使って接着面に薄く塗って割れた器と破片をつなげる。
その後、約2週間乾燥させる。

【ステップ3】:仕上げと削り

接着部分が十分に乾燥して器がつながったことを確認する。
接着部分にムラがあったり穴が開いている箇所があったりする場合は、下地用の「砥の粉(とのこ)」を混ぜた漆を使い埋めていく。
その後修正した部分が乾燥したら、断面からはみ出ている漆を削って平らにする。

【ステップ4】:金粉を蒔く

接着した断面の漆に沿って金粉を蒔く。
その後、再び乾燥させてペーパーサンドや鯛の牙などを使い、接着部分を磨いて仕上げる。

漆を使わない!?
金継ぎの3つの修理方法


金継ぎは接着剤の種類によって「本漆金継ぎ」「簡易金継ぎ」「簡漆金継ぎ」の3種類に分けられます。
以下でそれぞれの特徴をまとめました。

本漆金継ぎ

先にご紹介した天然の漆を接着剤として使う伝統的な金継ぎの技術を「本漆金継ぎ」といいます。
現代でも金継ぎといえば、多くの場合この方法を指します。
このあとご紹介する簡易金継ぎや合成樹脂と漆の両方を使う金継ぎと比べると、美しさや寿命に優れており、食器しても使えます(※ただし、電子レンジでの加熱は推奨されていません)。
その一方、乾燥に時間がかかってしまうので、金継ぎ作業が完了するまでに最低1週間程度、長ければ1カ月以上も要することがあります。
また、天然の漆を使うのでアレルギー対策も必要です。

簡易的な金継ぎ

漆の代わりに「合成接着剤」を使って修理する簡易的な金継ぎもあります。
乾燥時間が短いため数日で金継ぎ完了できるほか、漆を使わないのでかぶれる心配もありません。
また本漆金継ぎのようにたくさんの道具をそろえる必要はないので、より手軽に行えます。
ただし、合成接着剤を使った器は食器として使うことはできません。
花瓶などの観賞用の陶磁器が破損したときにおすすめの金継ぎです。

合成樹脂+漆を使う金継ぎ

漆と接着剤の両方を使う金継ぎもあります。
漆は接着部の仕上げとして表面に塗布するだけなので、本漆金継ぎよりも短い時間で修理でき、接着剤だけの金継ぎよりも見栄えが良いという特徴があります。

今すぐチャレンジできる!
金継ぎに必要な道具とは

金粉に必要な道具は先述した金継ぎの方法によって異なりますが、いずれにしても小麦粉から筆まで幅広く揃えなければなりません。
その一例を紹介します。

ほとんどの道具はDIY用品販売などで購入可能ですが、初心者はインターネット通販などで販売されているがおすすめです。

金継ぎにチャレンジしてみよう!

「ひとつのものを大切にし続ける」という日本人の考え方から生まれた金継ぎは、近年、日本独自の文化や美意識を表す芸術として海外からも注目を集めています。
そのような背景から、金継ぎ教室やワークショップも増えています。
金継ぎの敷居は高くないので、まずはチャレンジできるレベルから挑戦してみることをおすすめします。